「調律は毎年しているけれど、整調作業や整音作業は聞いたことがない。」
実はこのようなお客様は少なくありません。
ピアノのメンテナンスというと調律を思い浮かべる方がほとんどですが、ピアノ本来の性能を引き出すためには
「調律」「整調」「整音」の3つが重要になります。
今回は、それぞれの違いについて分かりやすくご紹介します。
調律とは
調律は、弦の音程を正しい高さに合わせる作業です。
ピアノには約230本もの弦が張られており、温度や湿度の変化、演奏や経年変化によって少しずつ音程が狂っていきます。
調律では音程を合わせるだけでなく、音と音の響きのバランスも整えながら、ピアノ全体の音階を作り上げていきます。
一般的に年に1回程度の調律が推奨されていますが、長期間調律を行っていない場合は音程の狂いが大きくなり、通常より時間や費用がかかることもあります。
整調とは
整調は、鍵盤や内部アクションの動きを調整する作業です。
どれだけ調律が正確でも、鍵盤の動きがバラバラでは気持ちよく演奏することができません。
例えば、
・鍵盤によって重さが違う
・戻りが悪い鍵盤がある
・連打しにくい
・弱い音が出しにくい
・強弱のコントロールが難しい
このような症状は整調で改善できる場合があります。
実はピアノは非常に精密な機械です。アップライトピアノでは1つの鍵盤が音になるまでに50〜100個近い部品が関係し合って動いています。88鍵全体では数千点もの部品が組み合わさり、演奏者の指の動きを音へと変換しています。
整調はまさにピアノの運動能力を整える作業と言えるでしょう。
整音とは
整音は、音色を整える作業です。
ピアノの音はハンマーのフェルトによって作られています。
長年使用するとハンマーが硬くなったり変形したりして、
・音がキンキンする
・音が硬い
・音がこもる
・音色がバラバラ
といった状態になることがあります。
整音では専用の針を使ってフェルトを調整し、音色を整えていきます。
「もっと柔らかい音にしたい」「明るく華やかな音にしたい」「全体の音色を揃えたい」
そんなご要望に応えることができる作業です。
人間で例えるなら整音は声質を整えるようなものです。同じ言葉を話していても、人によって優しい声、力強い声、柔らかい声があるように、ピアノにもそれぞれ個性があります。整音はその個性を整え、より魅力的な音へ導く作業です。
調律だけでは十分ではないことも
多くのお客様は調律のみを定期的に行っていますが、長年使用したピアノでは整調や整音が必要になっているケースが少なくありません。
実際に、
「調律したのに弾きにくい」
「音程は合っているのに音が気に入らない」
という場合、その原因は整調や整音にあることが多いのです。
特に10年以上本格的な整調を行っていないピアノでは、部品の摩耗や寸法のズレが大きくなっていることもあります。
ピアノも定期的な健康診断が大切
人間が健康診断を受けるように、ピアノも定期的な点検が大切です。
音程だけを見るのではなく、内部機構の状態や音色まで確認することで、より長く快適に演奏を楽しむことができます。
ササキピアノでは調律だけでなく、整調・整音を含めた総合的な診断やご提案を行っております。
「最近弾きにくくなった気がする」「音が以前と変わった気がする」「購入してから一度も整調したことがない」
そんな方は、一度ピアノの健康診断を受けてみてはいかがでしょうか。
調律師だからこそ見つけられる不具合や改善点があるかもしれません。
